総合ランキング3位獲得!(2014年2月)

悪女

悪の町



「・・・・・。」


虚ろな目の私が電車を降りたのは、悪の町。


゛新城゛が納める町。


手には鞄が一つ。


中には、6千円と、ガムと、ハンカチ。

そして携帯電話。


私はおもむろに携帯を取り出すと、画面を見た。


おびただしい数の着信と、メール。


鼻で笑ってそれをゴミ箱に捨てた。


「・・・男なんて、信じない。」


そう呟いた私は、歩を進める。


とりあえず、マン喫に入って、この町の求人に目を通した。


「住み込みって、あんまない。」


・・・とりあえずは、日雇いを。



小さな個室で、体を丸めた。








毎日を、【過ごす】



日雇いの仕事は女性にはあんまりなくて。


AVの勧誘だった時は、マジでヤバかった。


その日暮らしって、結構楽しめる。


キツくて、何も考える時間が無いから。



「っっ、お父さん、お母さん。」



個室で体を丸めて眠る私の口から漏れる、切ない声。


あの日、両親を失った。


両親と大事な牛乳屋は、私が帰った頃には、消し炭になっていた。



呆然と立ちすくむ私の前に、燃え残りのシャッターが目に入る。




『ざまぁ!

これを期に2人に近付くな!

悪女!』




「・・・なんでぇ?」


私が、何をしたというのだろう。


私は、一人の男を愛しただけ。


ただ、それだけ。


【悪女】な私は、両親を殺した。


「ごめんっっ、」


それからは覚えていない。


気が付けば、電車に乗っていた。


私には、両親の後を追う勇気も無いから。


私のような未成年が生きやすい町、新城の納める町へ。


この私の無意識の行動が、私の人生を大きく揺るがせた。




悪女は・・・この町で悪の帝王に出会った。





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