Dear Destiny

下校する生徒の群れがゆったりとした歩調で
帰路に発つ時間であった。

私立最上高校の校門前に、
一台のベンツが邪魔臭く止まっている。

平凡な校舎には不似合いな
黒のつややかさがひときわ目立った。


「お嬢様」


呼ばれた少女は、
大人の女性が頭を垂れている事に気付き、
団欒していた友人の輪を抜け、外に出た。


彼女の名は、上山百合。


大手株式会社の一人娘。

つまり、社長令嬢だ。

長い巻き毛がそれとなく
優しそうな顔立ちに見せている。

しかし外見とは裏腹に、
百合も普通の女子高生。

けだるく車のシーツに、
靴を脱いで体を横たえる。

想像するような、姿勢正しく、
凛としているお嬢様ではない。



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